X線とは原子中の電子が遷移を起こした際に放出される フォトンであり、ガンマ線とは原子核のエネルギー遷移に より放出されるフォトンの事です。しかしながら、 宇宙物理学の分野では 1keV程度から10keV程度のエネルギーを 持ったフォトンの事をX線と呼ぶ場合が多いです。 また10keV以上から数100keV程度までのフォトンを 硬X線という呼び方をする場合があります。またそれ以上の エネルギーを持ったフォトンはガンマ線と呼ばれる事が 多いです。以下では、宇宙物理学の慣習に則った呼び方を します。またこのページでは、筆者が偏光度検出器を専門に 開発しているため、主に偏光度検出器に関して詳しく述べます。 他に関しては、リンクを張ったページを見てみてください。
文責:山形大学理学部 郡司修一

X線、硬X線、ガンマ線は物質と以下のような相互作用をします。 そのため、X線や硬X線の検出器を製作するという事は、 以下のいづれかの相互作用を起こす物質を用意して、その 物質からX線や硬X線の持っている情報を引き出す事を 意味します。また以下に書かれているとおり、 ペアークリエーションはガンマ線でのみ起こる現象なので、 X線や硬X線検出器では、この相互作用は使われません。 以下のグラフは、それぞれのエネルギーに対して、どの 相互作用が最も起こりやすいかを示した図です。 横軸がエネルギーであり、縦軸が質量減弱係数と呼ばれる ものです。質量減弱係数が大きければ、大きいほど相互作用が 起こりやすいことを意味しています。 左図が物質がカーボンの場合で右図が 物質が鉛の場合です。
 
物質の種類によって若干異なるものの、この図から 分かるとおり、X線や硬X線は主に光電吸収を起こします。 そのため、多くの検出器では、 光電吸収を原理として使用しています。
X線や硬X線から物理的な情報を引き出す場合に、以下の 4つのパラメーターが重要となります。これら4つのパラメーター を精度良く検出できる検出器は今のところ存在しません。 そのため、自分がどの情報を一番必要とするかによって、 使用する検出器を変えます。